第3章 心臓の音3
な、なななに?
見ると田中さんが小柄な男の人をなだめてるみたいだった。
ツンっと立った髪の毛のセンターは金髪に染まっている。
「こらノヤ!先輩に向かってそんな…」
「根性なしは根性なしだ!!旭さんが戻んねぇなら俺も戻んねぇ!!!」
大きな怒鳴り声を上げてその人は歩き出した。
放心状態の私の横をスッと通り抜けて外に出て行った。
大きなつり上がった瞳が一瞬だけ私を捉えて、そのあとすぐに逸らされた。
「俺、ちょっと行ってきます!」
オレンジ色の髪の毛の男の子が
澤村先輩に何か言っているのが見えた。
あれ、あの子…
クラスメイトの…
部活だぁーーー!!!ってバレー部のことだったのか。
確か…日向。
日向くんは私がいるのに気づくと
「あー!く、クラスの!!!」
と大きな声を出して私を指差した。
『…どうも』
「俺日向翔陽!よろしくな!」
ニカっと笑顔を向けるとそのままさっき出て行った男の人を追いかけて出て行った。
「悪ぃ、まなちょっと待ってて」
そう言って孝ちゃん、田中先輩、澤村先輩の3人も続いて体育館を出て行った。
え、ちょ…
全く話についていけないんだけど…
そして体育館に残されたのは
からのペットボトルと転がったボールと
ーーーーーー影、山くん……