第2章 心臓の音2
キーンコーンカーン…
『あ、』
1限目を告げるであろうチャイムが学校に鳴り響く。
「つ、つっきーやばいよ!早くしなきゃ」
「うるさい山口。ちょっと先に行ってて」
「わ、わかったツッキー」
『?』
山口と呼ばれた男の子はそのまま三階まで登っていってしまった。
ツッキーと呼ばれた男の子は
私が落とした教科書を一緒にかき集めてくれた。
『あ、あの…ありがとうございます』
お礼を言ったけど不機嫌そうな顔で無視された。
うへ…
やっぱ怖い…
そしてそのまま半分以上の教科書を持って階段を登り始めた。
『え、ちょ…』
「あんたにまた落とされたら仕事増えるだけだから」
彼はそう言って階段をずいずい登っていく。
「何組?」
『い、1組』
彼は私の教室までくるとそのまま何も動揺することなく私の席まで教科書を運んでくれた。
幸いにも数学の先生はまだきてなくて
怒られることはなかった。
「あ、月島!なんでここに!?」
「あんたに関係ない」
さっきのオレンジ色の男の子が
教科書運んでくれた子に突っかかってる。
知り合い…なのかな
でも長身の彼はそのままあしらって教室を出て行った。
『あ、あり…』
ありがとうって言おうとしたら彼はもう教室にはいなかった。
…お礼言いそびれちゃったな…。