第2章 心臓の音2
「それで、どうだ。体調は」
『あ、えっと…もう大丈夫です』
職員室の先生の机の前でそう質問された。
「そうか。体育のことはもう先生にいってあるからな。
あ、あとこれが新しい教科書だ」
バーンっと先生がダンボールの中から何冊もの教科書のタワーを取り出した。
「さ、1限目始まる前に教室戻れよー」
先生はそう言ってどこかへ行ってしまった。
え、ちょ、
この量をここ(1階)から3階まで運ぶの⁉︎?
先生…
朝のHRの時にもってきてくれてもよかったんじゃ…
私はしぶしぶと教科書の底に手を入れて
目の高さくらいまであるだろう教科書を持って職員室を出た。
『よい、しょ…』
階段を一段登るのにすっごい時間かかる。
これ、1限目間に合うかな?
あと、前がよく見えない。
前方に人がいても確実にこれぶつかーーーーー…
『…ふげっ!!!!!』
2階から3階に上がろうとした曲がり角で
いきなり前が突っかかって顔面に教科書が激突して変な声出た。
バサバサっ…
バランスを崩した教科書は一気に
床に落ちていって見えなくなっていた視界が見えるようになった。
「いった……なに?」
「つ、ツッキー!」
見ると、前には金髪で身長がすごく高い男の人とこっちもまた身長あるだろう黒髪のソバカス男が立っていた。
『え、あの…ご、ごめんなさい…』
怖い…
めっちゃ見下ろされてるし金髪の人睨んでくるし…
私は急いで落ちた教科書をかき集める。