第10章 柊
「けどよー、影の正体もそうだけど、俺としてはここの世界観がどんなんかも知りたいんだけど?」
今度はそれまで黙っていた黒尾が話に割って入ってくる。
もちろん影の正体も気になるが、多分黒尾なりに考えた結果、それぞれ色んな手懸かりがあるみたいだが、このままだと同じような結論がエンドレスになるばかりではないのだろうかと思っての質問だった。
それにこの訳のわからない世界観も知っておく必要は十分ある。
どこかの校舎にいたり、出口のないグラウンドに倒れてたり、ホラーゲームなら攻略本を読めばそれまでだが、生憎攻略本などリアルにはない。
他の皆も黒尾の疑問が最もだったのか、一端影の正体への追及は打ち切り「どうなんだよ」と、黙ってやり取りを見ていた女の子に視線を再び移した。
「ここは、作られた世界……そこの白い人がさっき言ってたように、女の恨み、嫉み、妬み……負の感情が作り上げた世界なの。」
女の子は無表情に岩泉を指差し、どうやら白いユニフォームだけで白い人と言ったらしい。
白い人?と、松川がチラリと横目で岩泉を見るが敢えて岩泉は無視をした。
と、言うことは多分女の子の中では烏野が黒い人、音駒が赤い人といった認識だろう。
「復讐する為に、アイツは沢山勉強した。
どうやったら殺せるか。
どうやったら苦しめながら殺せるか。
そして、行き着いたのがお花を使っての復讐。
そして、今この世界はアイツの作り出したただの復讐の舞台でしかない。」
女の子はそこで言葉を一度区切った。
皆もただ、唖然と話を聞くばかり。
「だけど、アイツは復讐する上で気付けなかった。」
お 花 も 生 き て い る っ て 事 に
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