• テキストサイズ

【ハイキュー!!】金木犀

第2章 睡蓮




なんやかんや抗議の結果、最終的に夜久が得体の知れない物体は生き物ではないなという事に気が付き、勇敢にも自ら進んで確かめに行った。
近付いて見ればその物体は差ほど大きくもないガラスの花瓶。
それこそ、学校の教壇にでも飾ったりしてそうなくらいの大きさで、口の所が花のように開いた形の花瓶だった。
しかし、近付いてから夜久の体にゾワッと急激に悪寒が走り、然り気無く夜久を見守っていた2人に振り向き、「なぁ、コレ……」と口を開けば、2人も恐る恐る夜久へと近付き、眉を寄せた。
そこにあったのは花瓶と……何故か花瓶の中で力尽きたようにクタリと枯れている3輪の花。
まるでずっと置き去りにされた花みたいに真っ黒くなり変色している。


「何?コレ?」


及川が怪訝に眉を寄せる。
幾ら植物と言えどここまで枯れた花が放置されていると痛々しい感じがする。
しかも今は居場所がハッキリしない場所にいる訳で、植物だけがすっかり枯れたまま隅に置いてあるという事だけでも充分に恐怖は募る。


「……クロユリ……」


ボソッと聖夜が呟いた。


「瀬河さん、わかるの?」


夜久が聞けば、聖夜は花から目を離せないまま黙って頷く。


「聖夜ちゃんの家は花屋さんだから花には凄い詳しいよ。」


「へぇ……あ、クロユリって言えば、体育館の入り口にユリみたいな花が置いてあったな。」


「置いてあった?」





/ 123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp