第2章 睡蓮
「……徹君……見てきて。」
「は?」
まさかの聖夜の提案に及川の口が引きつる。
「だって、徹君歳上でしょ!!」
「それ言ったらやっくんだって歳上じゃん!!」
「初めて会った夜久さんにいきなり危険な事は頼めないよ!!」
「だからって彼氏に向かって躊躇いなしに危険な事頼むのもどうなの!!」
「徹君なら大丈夫な気がするの!!」
「待って、その根拠はどこから来てるの!!」
「つーか、こんな時にノロケとか正直ツラい。」
「「っ!!」」
いつの間にか言い争って、喧嘩なのか痴話喧嘩なのかよく分からない状態に夜久が何の仕打ちだよと、交互に見る。
物体を見てこいと言われるのもふざけるなと思うが、こんな状況でよく分からない痴話喧嘩を見せ付けられるのもふざけるなと思う。
寧ろ何プレイだと少なからず思った。
まぁ、状況が状況なので2人は付き合ってたんだなという質問は今はしないでおこう。
そして、特別興味もない。
どちらかと言えば先程及川の口から出た、夜久に対する「やっくん」呼びが気になり、出会って早々にやっくんとか言われると思わなかった。
馴れ馴れしいとも思いはしたが、それも今はどうでもいい。
ある程度状況が理解出来たら抗議しようかと思う。
夜久は空気の読める人だ。
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