第4章 マリーゴールド
「お前……何した?」
「え?何って、岩ちゃんとプリン君助けたんじゃん。
まさに危機一髪。」
ヘラリと笑ってさすが及川さんだよね、なんてピースする及川にイラッとし、たまたま手の届く場所にあったボールを容赦なく投げ付けてやれば、見事及川の顔面に直撃した。
「ちょっと!!!!
助けたのにこの仕打ちって酷くない!!」
「うるせーよ!!!!
大体何なんだよあの不気味なやつ!!!!
お前の仲間じゃねぇのかよ!!!!」
「え?あぁ、_____ちゃんの事?」
「は?」
会話の邪魔する音は一切ないのに、肝心な所が聞こえない。
「だから_____ちゃんの事でしょ?」
及川がもう一度言うがやはり聞こえない。
ふざけてんじゃねーよ、誰だよと岩泉が言えば及川はそっかぁ、と苦笑する。
「岩ちゃん達には聞こえないんだね。
さっきの子は仲間じゃないよ、寧ろ俺と寝癖君は作られただけだから。」
「作られた?」
「そう、女の嫉妬、妬み、恨み、嫉みによる復讐心からね。」
「最初会った時に言われなかった?
復讐してやるとか、許さないとか。」
「……。」
言われた。
けど、その復讐とやらが心当たりないので、わからないのだ。
「あの化けもんは一体何なんだよ?」
「化けもん?元々は人間だよ?」
「は?」
「だから、言ったじゃん、あれは女の嫉妬、妬み、恨み、嫉みだって。
まぁ、言わば悪霊に近いよねー。
そもそもあれは_____の_____さんだし。」
また肝心な所が聞こえない。
一体、所々聞こえないのは何なのだろうか。
及川の様子を見る限りわざと言ってる訳でも無さそうだ。
「ねぇ、岩ちゃん……もし、今みたいに、俺が襲われたら寝癖君みたいに庇ってくれた?」
及川の瞳が一瞬だけ悲しみに揺れた。
聞いといて返事はわかってる。
本物じゃない俺を庇って自分が死ぬなんてしないことくらい。
ただ、聞いてみたかっただけだ。
悲しくなるから返事はいらない。
なーんてね。
何時ものようにヘラリと笑って誤魔化そうとしたら、その前に岩泉が口を開いた。
「当たり前だろ。」
*