第4章 マリーゴールド
「体育館だね。」
「けど、青城じゃねぇな……お前の所か?」
「うちの体育館とも違う。」
残念ながら、と首を振った。
せめてどちらかの体育館であれば、変な夢から覚めたのかとも思えたのだろうが、生憎違ったらしい。
研磨が床に手が触れた時に懐かしい感覚になったのはこの場が体育館だったからのようだ。
「……あれ?そういえばこの体育館……。」
クルリと一周体育館を見回した研磨。
岩泉が何か見つけたか?と、聞けば眉を潜め視線だけをキョロキョロと見回す。
おかしい……何か違和感がある……
体育館奥のステージ
真ん中に張られたコート
そして……
「この体育館出入口がない。」
「はぁ?」
言われて岩泉が慌てて見回すと、確かに出入口がない。
回りは全て壁。
窓はあるが、鉄格子が張られておりとても出入は出来はしない。
「……閉じ込められたのか?」
「正確には閉じ込められてるんだと思う。」
試しに近場の窓に近付き、格子を前後に動かそうとしてみるもガッチリ固定されておりビクともしない。
どこか一ヶ所だけ取れるなんて事はまず考えにくいので、他の箇所も同じだろう。
どうしよう、と1つ小さなため息をつくと頭に軽い衝撃を感じる。
今は自分と岩泉さんしかいないので、確認せずとも岩泉さんだと言うのは明白。
何ですか?と後ろを振り向いて研磨は固まった。
そこにいたのは岩泉ではなく、幼なじみの黒尾だった。
*