第3章 アザミ
ドサッと女の子の上半身が転がり、その軽い衝撃でコロン……と頭も首から切断されたかのように離れてコロコロ扉の方へと転がっていく。
体が腰から上下真っ二つ、加えて首も落ちたのにも関わらず、女の子の体からは血が一滴も出る事は無かった。
が、高校生にはその光景だけでも十分刺激が強すぎ、聖夜は思わずその場に座り込み、急な吐き気に口許を押さえる。
「聖夜ちゃん!」
座り込む聖夜に、及川は膝をつき、聖夜の頭を自分の胸に押し付け見せまいとし、完全に今の状況を視界から消した。
聖夜はガクガクと震える手で及川の服を必死に掴みなんとか落ち着かせようとするも中々震えは治まってくれない。
大丈夫……大丈夫だからと、及川が優しく頭を撫でながら言葉を繰り返す。
「瀬河、大丈夫か?」
岩泉も膝をつき、聖夜の様子を伺う。
「ひでぇ……」
「さすがに女子にはキツいよな……」
松川と花巻が口にするも、今のは男女問わずキツいと思う。
その証拠に、日向、山口、菅原、縁下、研磨といった、いかにもこういったのが苦手そうな人達もこれでもかと言うほど眉間にシワを寄せ目を背けながら口許を押さえていた。
だからきっとそれを目の前で直に見た聖夜は相当のショックだと思う。
「スガ、大丈夫か?」
「うん、まぁ……何とか。」
澤村が菅原の背中を擦ってやるがとても大丈夫には見えない。
顔色が悪すぎる。
同様に黒尾も研磨の背中を擦ってやるも、「気持ち悪い」と、黒尾の体にもたれ掛かっていた。
見ぃつけた
こんなところにいたんだねぇ
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