第2章 睡蓮
夜久さん?と岩泉が眉を寄せると、今まで一緒にいた人だよと、倒れてた場所に視線をやる。
見れば、先程聖夜を除き混んできた人が夜久の腕を掴み、起こしてやっていた。
よく見れば、夜久と同じ赤いジャージを着ているので、どうやら同じ学校の人だったらしい。
というか、誰も伸びきった及川を起こしてやろうという人はいないのかと、その時聖夜の目に及川が不憫に映り、つまりこれは放置プレイですねと岩泉達と出会ったからか、聖夜の頭が変に冷静さを取り戻していた。
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「それじゃあ、話を纏めるとお前らもそのユリの花を見てからここに来たんだな。」
澤村の言葉にコクリと聖夜が頷く。
先程と同じように黒板しかない殺風景な教室に、皆の顔が見えるように丸く円を描くように座り、まさか……と聖夜が教室を見回したが、どうやらこの教室には花瓶もユリもないようで安心した。
ある程度簡単に紹介を済ませた所で、澤村が中心となって話を進めてくれるので助かる。
どうやらここにいる皆は何かしらクロユリを見たのを最後に気付いたらここにいたらしい。
原因は不明で、ただ気になるのはなんで烏野の人達だけやたらといるのかということ。
そして、何で東京の人達まで数人いるのかという疑問。
そもそも、ここに呼ばれた人達の共通点とは何なのか。
それが一向にわからないで皆頭を捻っていた所に、赤葦がそう言えばと、一同を見回し口を開く。
皆も何だどうしたと注目する。
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