第2章 睡蓮
「お前ら大丈夫か?」
出迎えてくれたのは誰かも知らない男子だった。
及川に倒れ混んで、仰向けになってる所をひょこっと除き混んできたのだ。
セットしてるのか、はたまた寝癖なのかわからないツンツンとした髪型が特徴で、どちら様ですかと目をぱちくりさせれば、彼が答えるより先に僅かな視界に見慣れた人物を捕らえ、考えるより先に聖夜の体がガバリと起き上がり確認するなりじわりと涙が目に溜まる。
「い……岩泉さん!!」
名前を呼ぶや否や、構わず聖夜は岩泉に駆け寄りガバリとしがみつくように抱き付いた。
「瀬河!!お前、何やってんだこんなとこで!!」
岩泉は驚きながらも、しっかりと聖夜を受け止めてくれた。
「そんなの私が聞きたいですよー!!
気付いたら知らない学校だし、徹君と夜久さんと一緒だし、でっかい手に追い掛けられるしで大変だったんですからね!!」
涙ながらに訴える聖夜に「及川?」と岩泉が聖夜の倒れていた所を見れば、伸びきった及川と初めて見る顔が座り込んでいた。
てゆーか、なんで及川が伸びてんだよ。
疑問には思ったが面倒臭いので口にはしなかった。
つーか、どうでもいい。
「瀬河も大変だったな。」
よしよし、と頭を撫でてやれば幾らか落ち着いた聖夜が、周りの状況に気が付いた。
岩泉を始め、その部屋には知ってる人から知らない人と沢山の人がいる。
「……どういう事?」
「俺たちも詳しくは知らねーんだけどよ、気が付いたら皆ここに集まってたんだよ。
烏野の奴らがほぼ全員と、俺らは松川と花巻と金田一と国見もいる。」
指だけ後ろを差した方向を見れば、確かに金田一達がいた。
「後は、赤いジャージ着てるのが音駒の奴らで、加えて梟谷の奴らが2人だと。」
「音駒?音駒って、確か夜久さんと同じ学校の人。」
*