第2章 睡蓮
「てゆーか、この廊下ってどこまで続いてる訳!!!!!!!」
行けども行けども真っ直ぐに続く廊下。
かなりの早さで走ってるが階段や教室は一向に見える気配がない。
一体どれだけ長い建物なんだよと及川が文句を言い始める。
マネージャーをしている聖夜は当然スタミナなど殆どなく、及川と夜久に引かれながらやっと走ってる状態だ。
「聖夜ちゃん、大丈夫?」
及川が気にかけてはくれるものの、頷くだけでも精一杯。
夜久もどこか隠れる場所はねーのかよと、走りながら探しているが見付からない。
「あー、もー、ホントに何なのさこれ!!!!!!!
夢じゃなかったらホント最悪!!!!!!!」
「夢だとしてもコレは最悪だろ。」
「唯一の救いは聖夜ちゃんと一緒な事だよね、やっくんとふたりきりだったら俺とっくに心折れてた。」
「何でだよ!!!!!!!」
及川と夜久が会話を繰り広げる。
さすがバレー部、必死に走る聖夜に比べ会話してても余裕だ。
会話を耳にしながら、及川に「ひとりきりより断然心強いでしょう」とも言ってあげたかったが生憎そんな余裕は全然ない。
そんな時……及川の視界の隅を何かが掠めたかと思った刹那、聖夜の手を握ってない逆の手をガシッと何かに捕まれ壁側に思い切り引っ張られた。
当然、手を繋いでいた聖夜、夜久も急な事に足が縺れそのまま及川の方へ倒れ混んで行く。
*