第2章 睡蓮
「何だよ、そんな驚く事でもなくないか?」
「ちょっと待って、今ので本当にここがどこだかわからなくなったんだけどさ、じゃあここ仙台かすらも怪しいじゃん!!」
「「?」」
同時に聖夜と夜久が首を傾げる。
「だってさ、聖夜ちゃんはお店のお手伝いしてて気付いたらここ。
俺は岩ちゃんとの帰り道からの気付いたらここ。
やっくんは体育館からの気付いたらここ。
つまり、やっくんは東京にいたんでしょ?俺ら仙台だよ?一瞬にして同じ所とかあり得なくない?
てゆーか、あり得ない。」
まぁ、どの道ここまでの課程で今更なんだけどね、とため息を着いた。
見付けた。
「「「!」」」
ピシリ、といきなり何処からともなく聞こえた女の子の声に3人が固まり、及川と夜久が聖夜を同時に見る。
が、聖夜はブンブンと頭を横に振る。
今の声は自分じゃないとの肯定で。
それじゃあ今のはと、聞こえたであろう後ろを恐る恐る振り向く3人は目を丸くした。
何時からいたのだろう。
聖夜の丁度5メートルくらい後ろの離れた位置に小学生くらいの女の子がじっと静かに立っていた。
身長が約155センチの聖夜に対して、大体聖夜のお腹くらいの位置に女の子の頭が来るように見えるので、その子の身長は80センチあるかないかくらいではないだろうか。
暗い中でもわかる真っ白な肌に、真っ黒な髪の毛はその子の腰の位置で綺麗に揃っていて、まるで日本人形を彷彿とさせる。
ただ気になるのは10月だというのに、女の子は白いワンピース姿で裸足だ。
現状から考えて人の形をした何かなんだろうというのはすぐに察しがついた。
が、不思議とその子からは恐怖は感じられず、逆に懐かしい感じがする。
上手くは言えないがずっと自分を守っていてくれたそんな感覚。
聖夜は無意識に、一歩女の子へと近付き目線を女の子に合わせるようにしゃがんだ。
途中、及川に庇われるように腕を前に出されたが、無言で大丈夫だからと訴えれば躊躇った後で腕を避けてくれた。
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