第12章 ウシノシタクサ
「_____!
話が違うじゃないか!
お兄ちゃん達には僕の事は秘密にしてって言っただろ!
でないと、僕戻れなくなるじゃないか!」
「「「?」」」
男の子の言葉に三人が首を傾げる。
男の子の言葉が何か一部聞こえないのもそうだが、男の子の言う戻れなくなると言うのは何だろう。
もしかしたら、男の子もあの影に連れて来られたのだろうか。
「煩い......。」
ポツリと影の呟いた声が日向の耳に届いた。
ハッとして影に視線を戻せば、まさに男の子に影が持っている鉈を降り下ろす寸前でいる。
そこからは考えるより先に身体が動いていた。
影が鉈を降り下ろしたのと、日向が男の子を庇って助けたのは殆ど紙一重。
鉈が男の子を縦に切り裂く寸前つど、日向が男の子を抱えててその場から距離を取った。
「っつ......」
「お兄ちゃん...?」
男の子を助けたのは殆ど反射的な行動だった為に助けた勢いで日向の身体はゴロゴロと転がり、壁にガツンと鈍い音を立てながら背中をぶつける。
音を聞いても結構な勢いでぶつけたように聞こえた。
「日向!!!!!!!!!!!!!!」
「ちょっ......大丈夫スか!!!!!!!」
今度こそ東峰から完璧に血の気が低く。
「お兄ちゃん?」
男の子が抱かれたままの状態で恐る恐る日向を呼んだ。
日向は数秒動かなかったが、ゆっくり顔を上げると、怪我はないか?と安心させるように頭を撫でてくれる。
その姿に男の子は勿論、東峰とリエーフも取り敢えずは胸を撫で下ろす。
「どうして僕を助けたの?」
「え?どうしてって......お前何も悪いことしてねぇだろ?」
「......。」
「それにさ......。」
「?」
お前に怪我がないみたいで良かったよ。
「お兄..................っ!」
男の子の視界に、再び影が鉈を振りかぶる姿を捕らえた。
*