第12章 ウシノシタクサ
「日向ー、お願いだから風邪引くなよー?」
「大丈夫ですよー。
バカは風邪引かないって言いますし。」
あわあわと心配する東峰に対し、リエーフは悪気のない表情で言い切る。
「......ねぇ......」
「ん?」
男の子の呼び掛けに3人はそちらを振り向く。
男の子は影の絵の前で佇みながら、3人には目をやらず影の絵を黙って見上げていた。
「お兄ちゃん達はさ......どうして正体も何も知らない僕を信じて着いて来るの?」
「どうして......って、そりゃ君が出口を教えてくれるって言うから......。」
「お兄ちゃんは何を根拠に僕が正直に出口を教えてあげるって思ってる?」
「え?」
「もしかしたら、お兄ちゃん達を助ける気なんか更々なくて騙してるだけかもしれないじゃん。
なのに、そんな酷い目にあってまでどうして僕に着いて来るの?」
男の子の言葉に東峰とリエーフが目をパチクリさせる。
そして、男の子の質問に答えたのは日向だった。
「だって、今頼れるのはお前しかいねーんだもん!」
「......。」
「日向?」
「あ、いや、東峰さんとかリエーフが頼れないとかじゃなくてですね、この世界だと、今一番頼れるのはこの子な訳であって、一番詳しいじゃないですか?」
「何で最後疑問系?」
「けど、さっきから日向が酷い目にあってるよな?」
まぁ、日向が率先して行動するから日向だけが災難にあってる訳だが......。
「けど、酷い目にあってるけど、死にそうな目にはあってないじゃん。
なんつーか、ほら、今までの事って子供がするようなイタズラばっかだからさ、実はこの子俺達と遊びたいのかなーって思ってた。」
「!」
可哀想に、お前ひとりなのか?
「だったら俺がずっと一緒にいてやるからな。」
男の子の脳裏にひとりの人物が笑いかけた。
*