第12章 ウシノシタクサ
「日向ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
東峰が真っ先に駆け寄り、頭を抱え、転げる日向を覗き込む。
大丈夫か?血ぃ出てないか?と見てやれば、赤くなる程度でそれ以外は大丈夫そうなので一先ず安心した。
にしても、昭和のコントじゃあるまい、タライって......と東峰が男の子を見る。
今時お笑い芸人でも滅多にタライなんて使わないんじゃないか?と眉を寄せた。
いや、違う。
今はそうじゃない。
「何でこんな事するんだよ!」
ケラケラ笑う男の子に珍しく東峰が怒鳴れば、ビックリした様子で日向とリエーフが目を丸くする。
男の子だけが、僅かに目を細め、面白くなさそうに東峰を見上げ口を開いた。
「お兄ちゃん達、ここから出たいんだろう?だったら、黙って僕に着いてきなよ。
僕の探し物を探して。
着いてくれば僕の探し物は見付かってお兄ちゃん達も助かるんだから。」
だから黙って着いて来るんだね、と男の子は先に進んで行ってしまった。
それから男の子に着いて行くも、行く先々で落とし穴にハマったり、天井から網が降ってきたり、散々な目にあった。
主に日向が。
ただ1つ気付いたのは、必ずトラップがある場所に影の絵が飾られており、構図こそは同じものの真っ暗な背景に少しずつだが下の方から花が加えられていた。
紫色の小さい花だが、あまり馴染みがない。
そして、そんなのを繰返し、今のずぶ濡れの状態に至る。
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