第12章 ウシノシタクサ
と、言う訳で男の子に出口を教えてもらう変わりに、探し物をしているのだが、先程から見つからない。
始めにいた部屋は出入り口がないのかと思いきや、部屋と一体化しており、ちゃんと扉はあった。
しかし、部屋を出ても扉の先はまだ建物の中のようで、目の前にはどこかの洋館を思わせるような先の見えない通路に、足元は赤い絨毯が敷いてある。
壁には鹿の剥製や、誰かの肖像画なんかも飾られてあった。
不気味だな......と思いながら動き出せないでいると、こっちだよと男の子が道案内をしてくれた。
探し物のある場所は検討がついてるのか?と、言われた通り着いていけば、数メートル歩いた所でピタリと、ある絵画の前で止まり、男の子がそれに目を向けるものだからつられて同じ方向を見て無意識に息を飲んだ。
大きめの金色の細かな細工のされている額縁に入っている絵は3人の記憶に恐怖として刻まれている影の姿。
真っ黒な背景に、真っ黒なフード付きのマントを被り、ジッと此方を見つめている。
絵画とは知りつつも何だか嫌な空気を漂わせる絵だった。
これがどうかしたのか?と日向が聞けば、男の子は、額縁の隅を指差し、その先を目線で辿った日向は額縁の細工に混じってボタンがあるのに気が付き、思わず日向がそのボタンを押せば、天井からバタンと音がし、ん?と見上げると同時に、日向の顔面にタライが直撃した。
それには東峰が顔を青くし、リエーフが何事だと言葉を失う中で男の子はギャハハハとお腹を抱え床に転げながら笑う。
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