第3章 第三章『苦しい』
花音side
苦しい。喉のところで、何かが詰まったようで、苦しい
とても苦しそうに、目に少し涙をためて走り出してしまった狐優くんは戻ってこない
もしもこのまま戻ってこなかったどうしよう、私は一人で生きていかなければいけないの?
やだよ、そんなの。一人は苦しい、一人は悲しい、一人は寂しいよ
狐優くん、戻ってきてよ、今、この場所がどこかもわからない私には、あなたしか頼れる人がいないのに
表情になんにも出さないで、しゃべるときもとても暗そうで
そんな君が、苦しそうに、顔を歪めて、目に涙をためて走り去っていったなんて、信じられなかった、信じたくなかった、君が嘘をついていると知っても、信じられなかった、信じたくなかった
嗚呼、なんか私、少女漫画の主人公みたいになってる気がするや・・・
床に転がるとすけてしまう可能性があるので、空中で寝転び、目を瞑った
この辛く、苦しい現実から逃げるために、自分のこの苦しみをなくすために
私が元気じゃなかったら狐優くん、なんにも喋んないでしょう
なら元気にならなきゃいけない、だから
そう考えながら私は少しずつ眠りに落ちていった
幽霊でも寝れるんだなー、と思いつつ、少しずつ、少しずつ