第3章 第三章『苦しい』
花音side
ドロドロ溶ける夕日を浜辺で一人で見ている夢を見た
まるではちみつがスプーンからこぼれ落ちるように、ドロドロと
少しずつ、溶けていく夕日が、姿を消すと次は大きな海の中にいた
何故か息はできていた。でも、周りは真っ暗の深海だった
大きな魚や小さな魚がいる。何故かわからないけれど、その魚たちは喧嘩している
止めれるかな、と手を伸ばせばすり抜け、その場まで行ってもすり抜ける
急に喉の奥から苦しい、と言う単語が溢れ出てきて、自分自身でもびっくりしていた
苦しくないのに苦しい、だなんて一体何が起こったのだろう
喉のあたりを触っても何もない、なのに、苦しいと言う言葉だけがこみ上げる
私は苦しい?苦しくない?頭の中が可笑しくなる
ぐるぐると回って二つの言葉はドロドロ溶ける
グシャリという音がして、後ろを振り向く
たくさんの小さな魚を大きな魚がたべていた
怖かった。私も食べられるんじゃないかって
でもその魚は私の方へこず、ほかの魚を食べていった
まるで、海を病気で蝕むように、一つのところからどんどん広げていく
私はここでも一人になるのか、と思う
たくさんの海の魚たちが、一瞬にして消えていく
まるで、元々その場にいなかったかのように
それを見ていて、ふとこんな考えで思い浮かぶ
_______私は本当に存在していた?
そう、確かに、私は存在していたはずなんだ。だけど、少しずつ、分からなくなっている。私がいたか、居なかったのか
ぐるぐる回る考えは、私の脳内を蝕んでいった
いつなったら目が覚めるのだろうか、と思いながら、夢の続きを見るのだった