第3章 第三章『苦しい』
狐優side
また嘘をついてしまった
僕は、そんなことを言いたいんじゃない。でも、僕の姿を見て怖がった人はいくらでもいる
僕は、嫌われるのが怖いんだ
本当は、人とも仲良くしたい、遊びたい、でも、妖と人は違うんだ
分かってる、分かってる、この子は、花音は、優しくて、僕の事を考えて言ってくれてる事くらい
でも、嫌われたくないから、僕はその言葉たちを拒絶してしまう、花音を拒絶してしまう
僕だって、君ない平気じゃないかって、思うこともあった、でも、僕を嫌った人と変わりがない君が、僕を嫌わない訳が無い、と考えてしまって
ごめんね、なんて、喉まで来た言葉は詰まってしまって、声にならなくて
下をむいている君に何も言えなくて、悔しくて
多分僕はここを離れないと、君の前で涙をこぼしてしまうから
急いで家の外に出て、後ろから伸びる君の手も届かないところまで急いで
茂みの中で、僕は座り込んで、泣いた
大きな声は出なかった、掠れた声しか出なかった
声を出す度、掠れている声で、
「ごめん・・・ごめん・・・ッ!」
と、謝る
でも君はここにはいない
君には聞こえないからこそ、普段は絶対に言わないお願いをした
君ほど僕に関わってくれた人はいないから
______僕に、君を信じさせて、僕に、正直なことを言わせて
君に気付かれないように、願った