第3章 襲撃
校庭に向かうはずの足が止まってしまった。
──こんなことってありえるの?
目の前でハリウッド映画でも見ているようだった。
さっきまで跳んでいたハードルは、燃えたぎる炎の中でひしゃげていた。
高跳び用のマットは竜のような黒煙に渦巻かれ、パチパチと火花を放っている。
思わず倉庫の中に身を隠した。
さっき、ここから翔太が出てきて挨拶してくれた…
さっきまでみんな…普通に練習してたのに…
強張る顔とは真逆に、手足の震えは止まらない。
部員たちのパニックで叫ぶ声が次々と聞こえる。
みんなが無事か知りたい。
勇気を振り絞って倉庫から顔を出してみた。
かえで先輩!倒れてる!
他にも数人が地面に倒れていた。
助けなきゃ!
あたしが出て行ったところでみんなが助かるわけでもないけど、自分だけここに隠れているのはいけない気がした。