第4章 覚醒した能力
いつも疑問に思っていた場所があった。部室の近くに壁が凹んでいるところがあり、5、6段くらいの階段があった。何のための窪みなのかずっと気になっていた。窪みの中に階段があっても意味ないじゃないか。
前に窪みに頭を突っ込んでみたことがある。当然行き止まりだった。
なんだか不思議な感じがしている場所。きっと卒業するまで謎のままだったのに──。
先ほどの掛け声とともに、仲間と思われる人たちとあたしたちは部室の方に走っていた。
「追え!逃がすな!」
逃げるあたしたちに気が付いた敵は行く手を阻むように先回りしてくる。
「火遁・豪火球の術!」
先輩の肩越しに後ろを見ると、今まで見たこともないような大きな火の塊が近づいていた。
「えっ…ちょっ…!せんぱ…っ…うしろ!」
「心配しなくていい、安心していいよ」
銀髪の男は目を細くして微笑むと他の人に先に行け!と指示し後ろを向いた。
「戻って!死んじゃうーーーーー!」
「なめてもらっちゃぁ困るんだよ。俺、一応強いからね。
水遁・水龍弾の術!」
辺りには水なんて一滴も落ちていないのに突如、水龍が現れた。その雄々しい龍は火の塊に噛みつくと見事打ち消してしまった。