第4章 覚醒した能力
「おかしくないだろ?てかここ危なそうだからさ、あっちに隠れてよーぜ」
明らかにおかしい。言葉遣いが普段と違いすぎる。この人、先輩じゃないんだ。
身の危険を感じて逃げようとすると
「おっと、逃がしゃあしねぇよ。お前、獲物だもんな~」
ぐいと腕をつかまれる。こいつ、力強い…!
「やめて!離して!先輩をどこにやったの!」
「まずは自分の身の心配をしたら?」
周りのやつらもニヤニヤして見ている。
振り払おうにもがっちり掴まれた手はほどけはしなかった。
銀髪さん…!どこにいるの!捕まっちゃったよ!
後ろは土壁。逃げ場はない。
そのときだった。突然ズキンとこめかみが痛んだ。
「……っ!」
目が痛い。…こんなときになんてことだ。くそっ!
でも目を開けなきゃ殺られる。痛みをこらえてまぶたをこじ開けた。
あれ?さっきより視界が晴れてよく見える。しかも敵の身体の中にたくさんの管が通っているのが見えた。
こんな管、見たことないけど何だろう?
こちらが疑問に思っていることは相手にも伝わったようだ。
なんだぁ?と顔をのぞき込んでくる。
そしてひとりが何かに気付いて叫んだ。
「こ、こいつ──!」