第4章 覚醒した能力
「いい?これから俺は応戦に行くけどきみはここから動いちゃだめだからね」
銀髪の男はそう言い残すと、高く跳んで壁の向こう消えた。
すごい。あれだけ跳べたら高跳びの世界王者になれるよ、とまぬけな考えが浮かんできた。
それにしても、この土の壁はどこから出てきたのかなぁ…断層?いやいや、地震起こってないし。それから、あのクナイの相殺。数学苦手なくせに…計算できちゃったよ。
壁に背中を預けてひとりで思考を巡らせていた。
湊先輩たちは大丈夫かな、と思っていると本人たちが壁のこちら側にやってきた。
「湊先輩!無事だったんですね!」
ほっと安堵の溜め息が出る。
「ああ、一応な。さっきすごかったね、あの相殺。」
やっぱり驚かれるよね。あたしも驚いたもん。
「お前、ほんとにこの世界の人?」
先輩の言葉に疑問を覚えた。先輩は人のことお前とか呼んだりしないのに、どうしたんだろう。
他の先輩も寄ってくる。
「この壁いいね。向こうから見えなくて」
「銀髪のあいつはどこに行った?」
明らかに質問の内容がおかしいでしょ。
「先輩、どうしちゃったんですか…?なんかおかしいですよ」