第4章 覚醒した能力
殺される──
そう思って思わずその場にしゃがみ込んでしまった。
これが走馬灯というものなのか。
湊先輩の笑顔、まなちゃんと遊んだ放課後、おじさんとおばさんの温かい手…。
ただ一つ、見たことのない風景だけど親しみのある場所があった。どこだろう、ここ…。
ゆっくりと流れる時間に身を任せていると、隣で声が聞こえた。
「土遁・土流壁!」
目を覆っていた手を離して、恐る恐る前を見てみると茶色い壁がどん!と出来上がっていた。
「大丈夫?さっき隠れててって言ったのに…
なーんで出てきちゃったかなぁ」
さっきの倉庫の男の声だ。左目はは額に巻いた金属付きのはちまき(?)で、鼻と口なんては布で覆われている。確認できるのなんて眠そうな右目と銀髪だけ。
…このご時世、こんな格好の人いるんだ。さっきまで死ぬー!とか言っていたのに男の奇妙な格好に呆気に取られた。