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あたしがオトそうと思ってたのに!

第1章 Prorogue


状況を理解する暇もなく、首にガツンと強い衝撃。

「うっ…」

まどかは地面にしゃがみこんだ。

「ま、まどか‼」

さくらが真っ先に駆け寄る。

「い、いったぁ…」

「杉野、大丈夫か?」

いつの間に来たのか、先生がまどかを覗き込む。

「少しクラクラしますけど…とりあえず」

「保健室に行ってこい、そのまま教室に戻っていいからな」

「ありがとうございます」

「まどかちゃん、超ごめん‼」

まどかにボールをぶつけてしまった男子が、申し訳なさそうに顔の前で両手を合わせる。

「大丈夫、大丈夫」

付き添おうと心配するさくらを止め、一人でグラウンドを後にする。

(当たった瞬間はヤバいと思ったけど今はなんともないや)

靴を履き替え、階段を上がって保健室のドアをノックした。
しかし反応がない。
養護教諭の不在を示すプレートがかかっているのに気付き、まどかはため息をついた。

「……うーん」

「邪魔なんだけど」

「?!」

上から声が降ってきた。

「い、一樹く…って、いたたた…」

見上げた拍子にボールが当たった箇所が痛み、顔を歪める。
そんなまどかに構わず、一樹はドアを開けてさっさと中に入ってしまった。
まどかも後に続き、ドアを閉める。

「どこか怪我でもしたの?」

そう尋ねたが、彼は当然無反応。
まどかはため息をつき、氷嚢と氷を用意し始めた。

(冷やしておけば何とかなるでしょ)

ソファーに座って首の後ろに氷嚢を当て、横目でチラッと一樹を見た。
彼は指に湿布を貼っている。
突き指らしい。

「指、大丈夫?」

「大丈夫じゃなかったら病院行ってる」

「……ですよね」

まどかは自分の顔がひきつるのが分かった。

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