• テキストサイズ

あたしがオトそうと思ってたのに!

第2章 翻弄


翌朝、登校するなりさくらが飛び付いてきた。

「ま、まどか…戸内くんと付き合うことになったの?!」

彼女は情報通だ。
当然知られると思っていたが、さすがにここまで早いとは思っていなかった。
彼女に打ち明けたくてたまらなかったまどかは、さくらに抱きつく勢いで話し出した。

「そ、そうなの。それについて相談したいことがあるんだけど───むぐっ?!」

「はい、おはよ」

いつの間にか背後に一樹が立っていた。
口を手で思いっきり塞がれ、まどかは一瞬呼吸困難になる。

「日比野さん、おはよう。今日もいい天気だね」

一樹はニコッと微笑み、さくらからまどかを引き離した。
口を塞いでいた手はすぐに離され、まどかは彼を睨み付ける。

「うわ、怖い怖い」

彼女が息をつくのもつかの間。
次の瞬間には、一樹が彼女の耳元に顔を近づけ囁いた。

「これは"二人だけ"のゲーム。誰にも助けを求めちゃダメだから」

びくっと肩を強張らせ、まどかは彼から仰け反るように離れる。

「なっ、何それ…」

「そのままの意味」

いつの間にか無表情に戻った一樹は、まどかの頭をポンと叩いた。

「???」

その手が優しかったので、まどかはきょとんとする。

「じゃ、先に行ってる」

一樹はそう言うと階段を登っていってしまった。
まどかは思わずそれを目で追った。

そんな二人の様子を、さくらは唖然として見ていた。

/ 18ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp