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あたしがオトそうと思ってたのに!

第1章 Prorogue


「じゃあ終業の15分前から試しにリレー走るから、それまでは各自自由に練習しとけー」

4限目。
体育の先生にそう言われ、グラウンドにそれぞれが散らばって体育祭の練習をしていた。
まどかも、さくらともう一組のペアと四人で集まって遊びに近い感覚で練習中。

体育祭は、数ある学校行事の中でも特に盛り上がる。
クラスごとに自由にチームTシャツを作り、それを着て優勝商品をかけ競う。
先輩と後輩、教師と生徒…なんて上下関係はこの日ばかりは関係ない。
一日中ガチバトルが繰り広げられるのである。
まどかのクラスももちろん、優勝目指して作戦を練りつつ練習に励んでいた。
体育の先生はというと、特に受け持ちのクラスもないので適当にグラウンドを歩き回って生徒と冗談を言い合ったり競技のコツを伝授したりして自由にやっている。

「このコンビも2回目か~」

まどかとさくらはずっと同じクラスなので、去年もパン食い競争に出ている。
だから経験値が違う。

「コンビネーション抜群だよぉぉ!」

さくらが叫びながらまどかを軽々と背負い駆け回っている。
彼女は中学まで陸上競技の中長距離を走っていたので、スタミナは人よりあるらしく、まどかを背負い走るくらい訳ないらしい。

「でもやっぱり一年間何もしてないわけだし、だいぶ落ちたなぁ」

ひとしきり走ったあと、まどかを降ろしてさくらは地面に伸びた。

「それだけ走れるんだから充分だよ」

もうひとつのペアが、口を揃えてさくらを誉める。
さくらも得意そうに笑った。

「誉められると悪い気しないねぇ~」

まどかもつられて笑った。
その時だった。

「危ないっ!」

「えっ?」

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