第1章 episode Y
「夢じゃないよ?」
ふいに後ろから声が聞こえた。
「あ、おはよ。リーダー。」
「おあよぉ」
あくびをしながら話す彼。
眠そうに目をこする彼。
歯を磨きながらウトウトする彼。
彼の一挙一動が、私の胸を締めつけた。
「なに?」
困ったように笑う顔に、ハッとして目をそらす。
「顔になんかついてた?」
シャコシャコと歯磨きをしながら、ちらっとこっちを見る横顔が、やけに美しい。
「え、いや、全然。あの、えっと、う、美しいなぁって…?」
「ふふっ、美しいだって、ふふふ。」
何がおかしいのかよくわからなかったけど、笑った顔がやっぱり美しかった。