第9章 35日目
「………………あ、相葉さん私……失格です…彼女失格です…。」
「うん、忘れていたのはわかったから、そんなおさるさんみたいな反省の仕方やめよ?」
駐車場の壁に片手をついてうなだれる私に相葉さんが言った。そして、突然目を輝かせて「サプライズしない?」と提案する。
「さぷ、らいず?」
「そ!あいつ、いつも人にイタズラして驚かす方だから、たまには驚く顔、見たいなあって!」
二宮くんの表情を思い出すと、確かに意地悪して笑う、そんな顔ばかり。あの顔を驚かす…?私が?
「…相葉さん……ナイスアイデアですね。」
なんだか、小学生に戻った様にワクワクしてきた。私の反応に相葉さんも一緒になって喜んでくれたのか、声のトーンが少し上がる。
「やった!じゃあじゃあちゃん、番号交換ね?」
あまりにも普通に携帯を差し出す相葉さんに、私が躊躇してしまった。
「え、いいんですか?」
そんな私の反応を見て「え?なんで?」と聞いてくる。決まってるじゃないですか、あなたはアイドルですよ!
私がそれを伝えると、「もーそんなん気にしてんの~?」と笑う相葉さん。警戒心もなく、庶民との距離が近い人。
二宮くんの周りはこう、なんというか、その辺りがホンワカしてる人が多い気がする。実際、二宮くんもそうだった。初めて会う私に番号を教えるなんて、ジャニーズ事務所は一体どんな教育をしてるんでしょう。