第9章 35日目
仕事帰り、いつものように家に帰ると、駐車場の影から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「あ、相葉さん…?」
3ナンバーの大きな車から出てきたのは、帽子を深く被った相葉さん。
「良かった~会えた~。」
「あ!二宮くんなら今日はお友達と飲みに行くって…」
仕事中に、「今日は仲良くしてる芸人さん達と飲んでくる」と連絡があった。俺が相手してあげなきゃ可哀想なの、とまたあまのじゃくなことを言ってたっけ。
「あ、違うの、今日はちゃんに会いに来た。」
「…え、ああ、え?」
「何その顔芸、面白いね。」
と笑う相葉さん。顔芸じゃあないのにな。
「私に用事、ですか?」
「うん!そおそ、来週のこと聞きたくて!」
「…来週?相葉さん唐突すぎて何のことか…」
相葉さんは基本的に主語がない、と二宮くんが言っていた。ああ、これのことか、と実感。そんな風に思っていると、相葉さんがリスのような目をキョトンと大きくした。
「何言ってんの、誕生日だよ、二ノの。」