第8章 34日目
「1度映画のエキストラをさせて頂いて」
「へえ、それでよく繋がれたね」
櫻井さんの真ん丸な目が少し大きくなる。
初めて目の前にする櫻井さんは肌が綺麗で、本当に整った顔をした人だった。
テレビと同じ綺麗な姿勢、礼儀正しい印象なのに、堅苦しくない話しやすさ。
「はい、それはそれは凄い偶然で…」
「そう、タコさんウインナーくれた」
「タ、タコさんウインナー?」
櫻井さんが声を裏返したように笑うと、大野さんが急に口を開いた。
「オイラもタコさん食いてえな」
ボソッと呟いた一言が、私の持つ大野さんのイメージにピッタリで笑ってしまう。
「大野さん、お腹減ってますか?」
「うん、減ったかも」
「あなた帰りに メロンパン食ってたじゃない」
「あれは別腹」
「ちょっと、私抜きで仲良くしないでよ」