第5章 31日目
なんてこった。
彼女との生活1日目だっていうのに、こんな日に限って収録の押すこと押すこと。
携帯を見ると時刻はAM1:45。
「…寝てるよな、」
気づかないうちに思いが口から出てしまった 。
その独り言に気づいたマネージャーが、ハンドルを握りながら口を開く。
「彼女さん、ですか?」
「…まあ、そんなとこ」
あの事件以来、マネージャーは何かと協力してくれていた。私としては信頼のおける味方が出来て、心強い。
「まだ続いてるんですね」
「うん、お陰さまで」
信号が赤になり、車が止まるとマネージャー はミラー越しに私を見る。
「家で、いいんですか?」
「…家で、いいんです」
だって今日から彼女は私の家にいるんですから。
「二宮さん、顔、ニヤついてますけど」
どうしたんですか、と言うマネジャーが不思議な光景を見るかのような視線を向ける。
「ああ、ごめん」そう言ってなかなか元には戻らない口元を手で隠した。
目をつむる頭の中には、君のことがいっぱいで。