第4章 30日目
「思い出なんて、いる?」
「え、い、いるよ…」
そうかなあ、と呟いた二宮くん。
「俺は昔のあなたよりも今のあなたの方が
断然に好きがおっきいし、
昔2人で行った海の思い出なんかより
今から始まる2人での生活の方が
断然楽しいと思う」
「……」
「あなたは違うの?」
「ちが、わないけど」
昔の二宮くんよりも今の二宮くんの方が大好きが大きいし、これから始まる生活にだってワクワクしてる。
彼がゆっくりと私に顔を近付け、ふわふわと前髪が当たる部分がくすぐったい。
なんだかそれは今の私の気持ちのようで。
おでこをくっ付けて、彼が優しい声で囁く。
「思い出なんかに浸る余裕あるなら、
もっと私に夢中になってよ」