第4章 30日目
また彼のため息が聞こえて。
なんで言い訳なんかしちゃったんだろう、 と後悔した瞬間、二宮くんが口を開く。
「うん、ごめん、ちょっと意地悪だった」
私を見下ろしていた彼が正座をする私に視線を合わせるようにしゃがみこんで、頭に優しく手を置いた。
「………、」
何が何だか、わかりません。
丁度同じ目線の彼が私を子犬のような目でジッと見つめる。
「あの頃は楽しかったなあ、 なんて考えた?」
「……え」
「目の前の俺よりも思い出の中の俺がいい?」
「……」
なあんてね、と言って立ち上がる彼。