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アンバランスな恋模様Ⅱ

第15章 41日目








「かーず」


局の廊下を歩いていると
突然呼ばれた名前、
振り返るとそこには美嘉がいた。



「ドラマ?」

「うん、そう、休憩中」



こうやってると
俺らは付き合わない方が
上手くやっていけるんだと思う。




「ちゃんて、いい子だね」

「…はい?」




彼女から出た名前に反応せずにはいられない。



「…んで名前、」

「あれ?聞いてないの?」

「…会ったの?」

「うん、てかかずの家行ったし」



一瞬、頭の中が真っ白になる。

なぜなら昨日もその前もその前の前の日も
の様子はいつもと変わらない
いつもと同じ笑顔で
まるで何もなかったように。


美嘉に会った、なんてことは一言も…




が何も言わない時ほど
俺にとって不安なことはなくて
また一人で何かを考えているんじゃないかと
自分にイラだって頭をかいた。




目の前の彼女は何故かご機嫌で
何を考えているのかわからない行動に
はあ、と大きなため息が出る。



「…お前さあ、何考えてんの?」

何って、と笑う彼女が


「かずとどうやったらヨリ戻せるか」

とまた同じセリフを。








こんなことの繰り返しが
何のためになるって言うんだ。



「…俺言ったよね?」

「うん、だから諦めないよ
 どうしてもかずを手に入れたいんだもん」



真っ直ぐ俺を見る彼女の視線
昔なら、この揺るがない強い瞳に
心を奪われていたかもしれない。

それを知っていて
彼女は俺にその視線を向ける。
だとしたら
それをさせているのは俺。



だけど今は、もう昔とは違う。

違うんだよ、美嘉。

もう俺たちは
あの頃になんて戻れない。





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