第13章 39日目
「…えーっと、あのお」と相葉くんが
私と美嘉を交互に見る。
それだけで言いたいことは
大体わかった。
「付き合ってねえよ、」
私の言葉に
パアッ、っと表情が明るくなり
「だよね、だよね、」と
確認するような、そんな頷き。
喜ぶ相葉くんに美嘉が
落ち着いた声で
「私はヨリ、戻したいんだけど」
と俺をチラッと横目で見る。
言わずとも、その言葉には
「」という脅しが隠れていて。
そんな異様な楽屋の雰囲気に
「永尾さん、本番始まるんじゃない?」
と仕事人の翔ちゃんが微笑む。
その笑顔の奥は鋭くて。
こういう時、意外と嵐は素直だなと思う。
みんなすぐ、顔に出ちゃうんだ。
あ、ほんと!
と腕につけた自分の時計を見る。
席を立ち上がり俺に背をむけた時
ああ、そうだ
と何かを思い出したように
こちらを振り向く。
「和、今日ご飯付き合ってくれない?」
「いや今日は、」
断ろうとしたけど
美嘉の目がそれをさせない。
「…はいはい」
「やった、じゃあまた連絡するね」
小さく手を振る美嘉に
ヒラヒラとそれを返した。