第12章 38日目
「いただきます」と手を合わせてハンバーグに手をつける隆太。
「りゅうた、おいしい?」
「おいひー!」
ふにゃ、と笑ってハンバーグを頬張る隆太に、つい私も顔が緩む。なんて、なんて可愛いんだ、隆太…!
私がニヤニヤしていると、隆太の目の前に座るその人が、隆太のお皿に入った問題のそれを優しく指摘する。
「りゅうたあ、ピーマン嫌いなの?」
隆太ばかりを見て全く気付かなかった。ハンバーグの横に添えたピーマンの炒めものが避けられている。
「きやい!」
「それじゃあにのみになれないなあ、」
うまい、うまい、と二宮くんが隆太のお皿に入ったピーマンをどんどん食べていく。最後の1つまで取られた時、隆太が「あ、」と声を出す。
隆太の反応を見て「食ってみる?」と二宮くんが1つを隆太にあーん、すると、端の方を少しだけ口に入れた。
眉間にシワを寄せて、ゴックンとそれを飲み込む隆太が「……うーまい、…うーまい」と二宮くんのマネをした。
「ぜ、全然美味しそうじゃない、ね。」
私がそう言うと、二宮くんが笑いを堪えるようにクククと手で口から下を隠す。
「…ふふ、りゅうた、うまいの?」
「…うん、うんまい」
「そのテンションよ!」と声を出して笑う姿を見て、なんだか隆太に二宮くんを取られた気がした。
さっき大人気ない、と言ったのは私なのに、確実に今、3歳児男子にヤキモチを妬きました。