第12章 38日目
洗面台から隆太の声が聞こえると、すぐに凄い足音がこちらに向かってやってきた。
「ちゃん!」と私の足に隆太が抱き付く。
「うっわ、隆太危ないよ。」
「僕がちゃんとけっこんする!」
「あ、え?」
急な告白。このくらいの子がよく言うやつだ。確か隆太は他にも結婚したい子が3人くらいいたはず。
「やくそくしたもん」
ぎゅーっと隆太が私の足を締め付ける。
「…りゅ、隆太さん、動けませんな。」
私が隆太をどうにかして足から離そうとすると、二宮くんが戻ってきた。助けて、の顔をしたのに、二宮くんは私のそれを無視して、隆太の視線に合わせるようにしゃがみこむ。
「りゅうた、ちゃんは
にのみと結婚するから
だあめ。」
「………、」
…まじ、ですか。にのみさん。
直接言われたわけじゃないけど、初めて言われた「結婚」の二文字はやっぱり嬉しい。
隆太、ごめん、
ちゃんはにのみさんと結婚するんだ!
なんて心の中で喜びを噛み締めていると、またもや隆太の力で「おっと、」とバランスを崩しそうになる。
「やだ!りゅーた!」
「違う、俺。」
「りゅうたあ」
「お、れ!」
にのみさん…、3歳相手に落ち着いつきましょう!相手にはまだリカちゃんとかアリサちゃんとかルリちゃんとかいるんですって。