第14章 赤い月夜 [松川×花巻]
「はぁ・・はぁ・・・なんなんだ・・・。」
部屋に着いた俺と花は、とりあえずひと息ついた。
花は、まだ正気に戻っていないようだった。
「はぁ・・・ちょっと待ってろ、なんか持って・・」
チクッ・・・
なにかが舌に刺さった気がした。
口の中が血の味になった。
俺は、キッチンに向かいながら洗面所に入って鏡を見た。
「なんだよ・・・これ」
口の中を見ると、牙が生えていた。
「なんで・・・」
『はぁ・・やっぱ駄目だったか・・・』
どこからか、声が聞こえた。
「誰だ!!」
『俺は、ヴァンパイヤ。きみの体を借りようと思ったんだけど、意識まで支配し損ねちゃって体しか借りれなかったんだ。』
「意味が分からんが、どーしたら治る?」
『ん~、やっぱ血かな。血を吸えばいいと思うよ』
「俺のか?」
『いや、君の一番好きな人の♥』
「却下。別に今のままでも困んねえし」
と、俺はキッチンに入りコーヒーとココアを入れた。
『君はいいかもしれないけど、彼は大丈夫かな~♪』
「は?」
『君の恋人くんも同じようにヴァンパイヤに支配されちゃってるかもよ~』
「ふざけんなよ、なんで花が・・・」
『現に彼、月を見て苦しそうじゃなかった?』
「はっ・・・?」
俺は、コーヒーとココアを持ち、部屋へ急いだ。