第39章 獣の願い [黒尾×灰羽]
たどり着いたのは、どこかの森の中
辺りはそろそろ夕方になろうとしていた
俺は、森の木の陰に身を隠した
リエーフは、すぐそばにいる
でも、隠れなければいけない理由
それは・・・
「すっげええ!!リエーフって獣なのか!?」
「おう!!俺は獅子の子だ!!」
一緒にいるのは、我らがオイカワを倒そうとする勇者様御一行様
あの太陽みたいなチビちゃんと親しげに話している
すげえ楽しそうに・・・
「ねえ、リエーフはどこから来たの?」
「・・・!?」
そう話を切り出したのは、ほかでもないケンマ
きっとケンマは奴の正体を分かっている
・・・それはイワイズミもだろう
「俺?うーん、大きなお城!!クロさんと一緒に!!」
「・・・クロ?」
目つき悪い弓使い君も気が付いた
あの格闘家も・・・
気付いてないのはチビちゃんだけ
「へえ!!すげえな!!」
「なぁなぁ!!ヒナタ達は何のために旅してるんだ?」
!!
ダメだ・・・それだけは聞いてはいけない
チビちゃんなら絶対答えちまう!!
知られたら・・・計画が・・・!!!
ピーーーーーーーーーー・・・・・・・
「あっ!!」
「えっ?」
「クロさんが呼んでる」
俺は、人間には聞こえないほどの高音で指笛を吹いた
リエーフ、来い
何も知ることなく・・・戻ってこい
「じゃあ俺行くな!!またな!!ヒナタ!!!」
「うん!!またな!!リエーフ!!!!」
2人は、無邪気な子供みたいに手を大きく振っていた
その後ろで見ている4人は複雑そうだったが・・・
「クロさん!!」
「リエーフ、もう城の外に出るな。いいな」
「・・・?はい」
その何もわからないと物語っている目
俺は、その無邪気な獅子の子を騙しているのだ
またね・・・
そうだな
お前はまたチビちゃんと会える
でも、その時は・・・
俺は、お前に謝らないといけないかもな・・・