第31章 ロビー
渋谷は、
一人ロビーの絵の前に立っていた。
渋谷「この屋敷には、なんかマリアの絵が多いよな。
たぶんマルの趣味やけど...笑」
そうつぶやきながら、
丸山が愛している絵を眺め続けていた。
何度か丸山から聞かされていた
言葉を思い出していた。
"僕の孤独を何度も救ってくれた”
渋谷「.....孤独をねぇ」
渋谷はマリアの顔を見ながら考えた。
こいつは遠い昔から、全てを見ていた。
俺らの知らない事も、
こいつは知っているのだろう。
渋谷「お前が話せたら、
こんな問題はすぐに解決しそうなんやけどな」
そう言うと苦笑いした。
渋谷「まぁ、おとなしい女は好みとちゃうから
微妙やけどな」
そう言うと渋谷は頭をかいた。
そこに丸山と村上がやって来た。
丸山「すばるくん、どうしたの?」
丸山は心配そうに渋谷に声を掛けた。
その言葉に渋谷は照れ臭そうに笑いながら言った。
渋谷「なんか、今回の事はマリアが関わってるんやろ?
そう思ったら、
こいつが何か知ってるかなって思ってな」
その言葉に続いて村上も口を開いた。
村上「俺らも、ここに何かヒントないかと
思って来たんや」
そう言うと三人で絵を見つめ続けた。
他の絵と違って、
この絵は昔から少しも変わる事はなかった。
村上「少しは動くとか、
他の所にヒントがあるかと思ってんけどな」
そう二人に笑って言った。
丸山「他の絵と違って.....」
丸山が村上の言葉に大きく動揺したのを、
渋谷は見逃さなかった。
渋谷「マル、どなんしたんや、
何か思い出したんか?」
その言葉に丸山は、小さい声で答えた
丸山「この絵以外は、家を建て直した後に手に入れたものだよね、
さっき村上君とも話してたんだよ」
渋谷「おん、お前が選んだんやろ?」
丸山「この絵、もしかしたら.....]
村上「もしかしたら?」
しばらく沈黙が続いた後に、
丸山は大きなため息の後にゆっくりと言葉をだした。
丸山「この絵が魔女なんじゃ....」
丸山がその言葉を発したと同時に、
絵は大きな爆発音と共に
吹き飛んでしまった。