第30章 孤独
何も言えずに立っている私に、
彼は冷たい目線を送った。
錦戸「なんやねん、そんな憐れむような顔は」
彼の言葉に私はうろたえた。
「別に何ですもありませんが...」
錦戸「なぁ、お前を捕まえたヤツは誰や」
彼の言葉に私はその時を思い出してみたが、
どうしてもその一部だけが切り取られたように
思い出せなくなっていた。
「私、その人の顔を見てるはずなのにどうしても思い出せないの..」
私の言葉に彼は苦笑いした。
錦戸「なんか都合がええなぁ」
「ごめんなさい.....」
私は突然、申し訳なくなって謝った。
彼は少し笑ってくれた。
錦戸「まぁ、ええわ。 取
りあえず皆の所にいこうや」
「え、、」
私は動揺した。
また、恐ろしい人たちに囲まれるとかと思うと、
ゾッとしていたからだ。
錦戸「どなんしたん」
彼は不思議そうな顔をしていたが、
言葉を付け足した。
錦戸「お前の思いだせないのも、
何か意味があるのかわからんし、
仲間なら何か分かるかもしれんから」
彼の言葉に私は小さく頷いた
彼は、
棺桶のある十字架のある部屋から出て行き、
私も後に付いて出て行った。
今から私には地獄が待っているとも知らないで..