第28章 過去からのモノ
丸山は、
紙に描かれたマリア様を見つめ続けていた。
村上「俺らの屋敷の半分以上は壊れたやんか」
村上の言葉に、
丸山は絵から目をそらした。
村上「その時に、一個だけ残った物あるやんな。
お前の宝物がさ」
丸山は顔色変え、立ち上がった。
丸山「ロビーのマリア様の絵...」
村上「あの絵は、お前が来る前からあったんやろ?
この屋敷に。」
丸山は無言で頷いた。
村上「て事はやな、
マルの知らない事も知ってるって事や、
マルが来る前の持ち主の事も.....」
丸山「前の持ち主....]
村上は重い口調で言葉を出した。
村上「俺の人間の時の記憶はほとんどないが、
微かにある思い出に、
この屋敷には近づくなと言われてた気がする、
ある噂があって」
丸山「それは、僕の事じゃないの?」
村上「いや、違うと思うで。
なんか思い出しそうなのに出てこんねん、
この辺まで出かかっているのに」
イライラしながら、村上は言った。
丸山「なら、ロビーの絵を調べに行ってみる?
何かヒントがあるかもしれないし」
丸山はテーブルに並べていた紙を
自分のズボンのポケットにしまうと歩き出した。
村上「今思ったけど
なんか、いつも大倉が関係してるよな(笑)」
丸山は小さく微笑みながら返した。
丸山「大倉じゃなくて、その彼女だよ...」
村上「ん? どういう事や」
村上は理解が出来ずに困った顔をした。
丸山は、話を続けた。
丸山「神を信仰する者の血を、闇の者は欲する」
増々訳が分からないという顔をする村上に
丸山「お腹の子供は神が与えた清き命だよ。
いくら闇サイドの親の子であってもさ.....」
村上は丸山の頭を強く撫でながら
村上「そやな、お前も神が与えた命や」
そう言うと二人で部屋を後にした。