第1章 ホテル
現れた色の白い男の人は、
私をフロントの記帳へと案内した
横山「何泊の御予定ですか?」
彼の問いに私は顔を上げた
そして、周りを見た。
あの女は何処に行ったのだろう?
不思議に思い、おもむろに答えた
「出来れば一週間ほど....」
ネームプレートに横山と書かれた彼の顔が上がる
横山「長めの滞在ですね...」
そう言って微笑んだ
「はい、私これでも雑誌記者なんです」
横山の顔色が変わったのを、
私は見逃さなかった
「グルメ記事を書いてる者なんですけど、
やっとお休みをもらって....」
その私の言葉を聞いた彼は、妖艶な微笑みを浮かべて
横山「そうでしたか、
では当ホテルで疲れをお取りになって下さい」
そう言うと、指をパチッと軽快に鳴らした
すると私の横に一人の男性が立っていた
安田「お荷物を運びますので」
そう言うと、優しく私の鞄を腕から取り、
微笑みながら歩きだした
安田「お部屋に御案内いたします」
私は、
笑顔の可愛い安田に連れられ、部屋に向かった
横山は客を見送ると、
ロビーの奥の部屋に入った
村上「新しい獲物の到着やな」
村上は、微笑みながら言った
渋谷「しかし、グルメ記者って...」
渋谷はソファーに寝そべりながら呟いた
そんな彼らを無視して横山は
横山「大倉は何処におるんや?」
錦戸「さぁ、朝から見てないな...」
錦戸は、自分の牙を手で触りながら言った
丸山「でも、横山くん、
記者さんをホテルに入れても大丈夫なの?」
丸山は不安げに尋ねた
その言葉に横山は静かに笑った
横山「ヘタ打たんかったら大丈夫や、
死体は何も話さんから...」
その言葉に、みんなは静かに頷いた
私はホテルの大きな秘密を知らなかったのだ。
このホテルの従業員はホスト並みに男前だが
吸血鬼だったとは
そして1ヶ月に1度、客をエサにしてる事も...
私がエサに選ばれていた事も...