第6章 彼女
食後に私は部屋に戻ったが、
大人しくしているわけにはいかなかった
だから、庭を探索する事にした
やはり、この建物は変だ。
外からは全く中が見えない
これでは太陽の光すら見えない
やはり、誘拐を隠す為なのか
私は、屋敷の周りを歩いた。
何か彼らに関するヒントはないかと思いながら..。
庭は、綺麗にされているようだ
落ち着いた感じになっている
私は、不思議に感じて、庭を見ていた。
すると、あるモノが私の目に止まった
この庭に不似合いな、
ゴツゴツした大きな岩が置いてあった。
そして、岩の前に白い薔薇が一本。
周りには、枯れた薔薇が何本も、、。
「これは、お墓?」
私は、お墓の周りを歩いてみた
無機質だが、愛情を感じるお墓だ
すると私の後ろに人の気配がした
振り向くと一人の男が立っていた
村上「そこで何をしてるんや?」
少しイライラした様子だった
私は必死で、
ここにいる理由を誤魔化そうとした。
「ちょっと食べ過ぎたみたいで、散歩してたんです」
焦りながら答えると、彼はゆっくりとお墓に近寄って
村上「散歩でも何でもええけど、
ここには近づかんといてくれるか?」
そう言うと、新しい白薔薇をお墓に供えた。
私は小さく頷く。
村上「もし、この墓を荒らしたら
俺はアンタが客であっても許さんから...」
そう言うと背中を向けた。
私は、彼に聞いてみた
「大切な人なんですね...」
彼の背中が余りに寂しそうだったから。
すると、彼は静かに振り向き、私を見つめた
村上「アンタには関係ないやろ?」
そう言うと、彼はまたお墓を見つめる。
私は、ますます彼らに興味を持ってしまった。
本当に人間を誘拐しているのか?
彼らの秘密は?
今はただ、
この悲しき背中を
見つめることしか出来なかった。