第5章 心
私は、暫く眠ったあと、ようやく目覚めた
私を心配する大倉さんの顔が、目の前にあった。
彼は、私の手をしっかりと握り、
心配そうな顔をしてた
「....大倉さん?」
私は、自分の身体に力が入らない事に気が付いた
大倉「大丈夫…?」
私は、ベットに横になりながら頷いた
すると、大倉さんは握っている手に力を入れた
大倉「ちゃんと話して欲しい..、どんな事でも、」
彼の目は悲しみに揺れていた。
彼の手の、僅かな温もりを感じながら、
私は目を閉じた
大倉「どんな事でも受けいれるから、
一人で背負わないで欲しい.....」
私の目から涙が流れる。
それを、彼が優しく拭き取る
「大倉さん....」
私は泣きながら言った。
大倉「どうした…?」
彼は優しく聞いてくれる。
私は言葉に詰まったが、呼吸を整えて伝えた
「.....出来たみたい」
二人の間に沈黙が流れる
大倉「えっ……?」
私は掛布団で顔を隠した
流れる涙が止まらないから
大倉「えっ、どういう事?」
私は何だか怖くて、答えられなかった
横山「赤ん坊や...」
いつ入って来たのか、横山が後ろから声をかけた
大倉は、
横山と私を交互に見て、慌てている様子だった。
それを見て、横山は私たちに言った。
横山「闇の者にも、未来があったんやな...」
そう言うと、私のベットに近寄って来て
私の耳元で囁いた
横山「何の心配もいらん、
赤ん坊を助ける方法は見つけるから...」
そう囁いて
大倉の肩を軽く叩き、部屋を出て行った。
残された部屋は、異様な静けさに包まれていた。
彼は、私の髪を優しく撫でた
大倉「...何で一人で苦しんでたの?」
私は静かに答えた。
「私たちは死人、その二人に赤ちゃんが産まれるとは思わない...」
その言葉を聞き、彼は俯いた
大倉「そうか、だから一人で苦しんでいたんだね...」
私の涙はとまらなくなっていた
彼は、私を強く強く抱きしめた
大倉「ここに誓うよ、
君と赤ちゃんを何があっても守ると.....」
そう言うと、私を優しく抱きしめ続けた。