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メイドの恋

第1章 失ったモノ



電話に出るとお母さんは慌てた様子で喋る


(桜、早く帰ってきてちょうだい)
『どうしたの?なにがあったの?
1回、帰るからその時教えて』


あたしはすぐさま電話を切り急いで駅に向かった
大学から駅まで徒歩5分、それから最寄り駅で降り
家まで自転車で20分だから30分はかかる
今日は元彼と会う予定だったがラインで
今日は会えないと送信しいそいで家に向かう
悪い予感をしながら…
あたしの予感はよく当たる
そう思うとブルーな気持ちになる
ブルーな気持ちになっているといつのまにか
降りる駅まで着いた
電車から降り外を見れば小雨になっている
濡れないよう折りたたみ傘を差し家まで走る
ようやく家まで着き玄関で靴を脱ぎ
リビングに行く
リビングには業者の人とお母さん、
滅多に会わないお父さんがいた


「これで契約は終わりました
なるべく早めに退居してくださいね」


業者さんはペコッとお辞儀をしリビングから出て行った
何がなんだかわからないままお母さんに事情を
聞くことにした


『お母さん、退居ってどういう意味?
それに契約って…』


あたしの言葉にお母さんは静かに話しだした


「桜落ち着いて聞いてほしいの
お父さんね、会社のお金を借りて競馬場に
行ってたの
そのことが会社の上司にバレてクビにさせられたの
元々この家社宅みたいだから退居するよう
業者さんに言われたの」
『そんな…家はどうするの?
ここからじゃ仕事場に行けないよ』
「桜…実はさっき電話があったのよ
試験には受かったけど桜は仕事できないのよ
県外に移転するんですって
今、移転に向けて取り壊し中みたいなの
私たちはそんなにお金を持ってないから
県外に引っ越すことなんてできないわ
ごめんなさいね」
『ううん…お母さん、謝らないで
ただ戸惑ってるだけ…
ちょっと風に当たってくる』
「桜…無理しないでいいのよ?
時には甘えて誰かに支えてもらって」
『わかった…じゃぁ、少し行ってくるね』


あたしはその場から離れドアに向かう
リビングから出た瞬間、こみあげてきた涙が
溢れ出してきた
涙目になりながら玄関から出て行き
近くにある公園に向かった

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