第26章 夢の話しを
ジジジジジ……
「あれ?」
ジジジジジ…
アナログテレビの砂嵐のように視界が揺らぐ。疲れているのかと目をこするが止まらない。
「咲姫?どうかしたかい?」
「いや、なんで…も……って葵ちゃん?」
気がつけば、いつの間にやら廃校で出会った葵ちゃんがいた
「…穴から…出てくるとこ見たから…。」
「そっかぁそっかぁ。」
「咲姫ちゃん咲姫ちゃん!その子だれ?だーれ?」
明ちゃんがグイグイと服を引っ張ってくる
シジッ………
あれ、またゆがんだ
「…あ……」
歪んだ視界の向こうに見えたのは…
「!?あんたまさか!」
「え、なに!?咲姫ちゃんどうしたの?」
ガクッと体から力が抜ける。いったい何が起こっているのだろうか。
「……き ざ き…!てる…!」
だんだん、声が消えていった
ゴォォォォ…
燃えている。何かが燃えている。私はハッとして辺りを見渡した。
「なにここ…」
キャンプファイヤーのように炎を囲む人々。
しかしそれにしては盛り上がっていない
「駄目!そこから出て!早く!」
葵ちゃんの声だ。どこから聞こえているのだろう。
「駄目よ!お願いやめて!いるんでしょ!?このろくでなし人形!このロリコン!妹の一大事でしょうが!」
誰かとしゃべっているようだが姿が見えない。
「咲姫!」
「征十郎!」
私はその声の主がどこにいるのかすぐにわかった。しかしそこは何も見えない漆黒の闇。私は何の迷いもなくそこへ飛び込んだ。
「…またやりましたね」
包帯少女は、暗い部屋の隅に目をやった
「何か………?」
してやったりというような笑顔で、壁に鎖で体をくくりつけられた少女が笑う。綺麗な着物を着ているがボロボロで顔もススまみれだ。
まるで炎で焦がされたように
「私の思うようにやって何が悪い?人形…そなたはもう眠るべきじゃ。」
「うるさい!」
人形と呼ばれた包帯少女は耳をふさぐ
「絶対、絶対、消えたりしない!主のあなたが消え果てればいいのです!いつまでもしぶとく生きてないでとっとと楽になればいいのです!」
「哀れな人形よ…私の体の…行く末は私が決める…この命尽きるまで…」
フードの少年は、そのやりとりを黙ってみていた。
ただ黙って…