第5章 再開
彼に会えたのは嬉しい、けど…
「む、紫原君…この音………」
グシャッグシャッとさっきから聞こえてくる何かがつぶれる音。
「あら?あららぁ…聞いちゃだめー。」
と大きな手で目だけでなく耳もふさがれる。
「ごめん。はっきり言って効果ない……」
「えぇー!?峰ちーん黄瀬ちーん。もっと静かにやってくんなーい?」
「無理いわないでほしいっす!あ。咲姫っち、もう終わったっす!」
「り、リアルなこと言わないで…!否定されてた推定が断定に変わったじゃんか…!!!」
「黄瀬、最低だな…」
「青峰っちが一番殴ってたじゃないっすか!」
…心配して損した。この人達心配いらなかった。いっさいいらなかったよ。
「喧嘩するなよー。はっ!鬼のお兄さん!キタコレ!」
「この寒いのは伊月さんですねーーーっ!?あなたも無事だったんですね!?」
どこにいても揺るぎないねあなたは!ダジャレ王の座に君臨するんだね!?
「で、何で咲姫はここにいるんだよ?」
と、言われたのでこれまでのいきさつをしゃべっておいた。
「…なんというか咲姫っちの性格まじ尊敬するっす……」
「赤ちんにそんなこと言えるの渡辺ちんだけだよねー。」
「……で、渡辺さんは鍵があったからもう帰れるってことだろ?俺達、道はわかってるから早く体育館に行った方がいいんじゃないのか?一緒に謝ってやるからさ。」
伊月さんってダジャレ言わなかったらかっこいいよね…。心遣いは嬉しいけど…
「この音楽室が体育館以外の場所で唯一入れる場所だから、調べておきたいんです。どうせ怒られるなら好きなこととことんやっちゃおっかなって!」
本当は一刻も早く帰りたいが、このまま帰ってなんもなしより音楽室で何か脱出の手がかりを掴めたらなと思う。
征十郎の怒りモードを想像すればやばこわだけど!ね!